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昆陽池の日本列島探検!!こども北摂里山探検隊レポ「昆陽池の中の日本列島調査と昆虫館巡り」おくやま館長と昆虫館めぐり編

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(伊丹市立昆虫館を目指して歩く探検隊メンバーのこどもたちとおくやま館長)

お待たせしました!!「自転車乗りfumitaroの北摂探訪記」

今回も2020年12月6日に開催された
昆陽池の日本列島探検!!こども北摂里山探検隊レポ「昆陽池の中の日本列島調査と昆虫館巡り」レポートもようやく第3弾、「おくやま館長と昆虫館めぐり編」をお届けします。

今回のこども探検隊、午前中は昆陽池の中の島「野鳥の島」に上陸して植樹作業、そして午後からは伊丹市立昆虫館 館長の奥山清市氏による北摂の里山に棲む昆虫の説明と昆虫館めぐりという濃厚な内容です。

内容が盛り沢山なので、ブログも年を跨いで3篇に分けて公開するという充実ぶり。公開までの時間が長くなってしまいましたが、お楽しみいただけたらと思います(#^^#)

スワン1
(答え分かりますか?)

午前中の野鳥の島調査&植樹作業を終えて、お昼ごはんを食べた後は昆陽池のスワンホールで北摂の昆虫についてのお勉強が始まります。

講師は伊丹市立昆虫館のおくやま館長さん。授業が始まる前にすでに「昆虫なぞなぞ」が出題されていて、探検隊のこどもたちも「なんだ?なんだ?」と考えさせられています。「ツカミはOK」ってヤツですね。

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(クイズ第2問、おっ難しいぞ)

第1問目は、空の中にいる、、で雲・・クモが正解だったかな。第2問はなかなかひねった問題で難しかったです。分かりますか?

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「にし」は「2×4」だから答えは「8」→「ハチ」が正解。ちょっと難しかったですねぇ('ω') そんな訳でクイズで盛り上がって、いよいよ本題に入っていきます。

スワン2

「さぁ、これは何でしょう?」とおくやま館長からまたもや問題が出されました。
しかし、さすが探検隊のこどもたち。「ハイ!ハイ!」と元気な声がすぐに上がります。

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分かりますね。そう、台場クヌギです。薪や炭を取るためにクヌギの木を切り取るとその後、切り取られたクヌギの木からまた数本の幹が伸びていくのが特徴です。

おくやま館長によれば「北摂で昆虫というと、この台場クヌギを知らないとモグリです」と明言を頂きました。そうだったんですね。昆虫界のことはあまり知らない私には良い勉強になしました。

しかし、ちびっ子隊員君たちには「モグリ」って言葉の意味分からないだろうなぁ。

樹液に集まるカブト虫
(樹液に集まるカブト虫)

北摂地区は能勢町の菊炭のように、雑木林のクヌギの木を使った炭作りが伝統的に盛んな地区でもありました。炭作りのためにクヌギの木が植樹され、炭用に切られて多くの台場クヌギが出来るのですが、そのクヌギの木が出す樹液に多種多様の昆虫が集まってくるのです。

北摂の昆虫を知るには、昆虫たちが大好きなクヌギの木の樹液のことを知らないといけない。おくやま館長の伝えたかったことはそういう事ではないかと思いました。

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(樹液を舐めるスズメバチ)

おくやま館長「樹液はただの甘い木の汁ではありません」「樹液は生き物です」
会場ガヤガヤ「えっ??どういうこと・・・」

昆虫素人の私のイメージ「樹液は木の傷から漏れ出る木の甘い液体カナ・・・」くらいの感じでしたが、今回、おくやま館長の樹液の話を聴いてちょっと感動しました。

クヌギの木に穴を開けて樹液を外に漏らすのはモクトウガの幼虫の仕業なのですが、木を食べたり、樹液を吸って食料にしている訳ではなく、樹液を出してそこに寄ってくる小さな虫を食べるためのおびき寄せの罠だという。

そして、クヌギの木はコルク層が厚いために、樹液の成分にタンニンが多く含まれ、抗菌物質を多く含む必要がないために「甘い」味になるそうです。樹皮が薄い木の樹液は抗菌物質が多く含まれているために苦く美味しくないらしい。。

さらに6月~10月にかけての時期に光合成によって樹液が糖分を分泌し、空気中の酵母菌に触れることで樹液が発酵することでアルコールを伴って樹液はますます美味しさアップ!!

と、言うことは・・樹液が漏れ出るクヌギは、
昆虫たちの酒場(*‘∀‘)って事じゃないか!!

たくさんの昆虫たちが集まって夢中になって樹液を吸うのも妙に納得だ。

kabutomusi.jpg(ご存知、カブトムシ)

おくやま館長、日本のカブトムシへのこよなき愛を訥々と語っておられました。

曰く、1999年11月24日、植物検疫法の改正によって、外国産のカブトムシ・クワガタムシの輸入解禁となり、これまで図鑑でしか見た事のなかった世界最大のヘラクレスオオカブトムシなどの外国の魅力的な簡単にペットショップで買うことができるようになった。そうなると、日本のカブトムシの人気が下がってしまうんじゃなかって心配した。だけど、全然そんなことはなくて、日本のカブトムシの人気は変わらない。日本のカブトムシは端正でカッコいい。デカさやパワーでは外国のカブトムシには敵わないけど「柔よく剛を制す」の精神でいきたいですね。

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あと、印象的だったのが日本の国蝶、オオムラサキの話。日本の広範囲に分布していて、雑木林を住処としているこの蝶も樹液が大好物。それは良いんですけど、驚いたのはおくやま館長の次の言葉。

「オオムラサキはスズメバチを撃退する」

えっ??あの強力な毒針と顎、力強い羽と太く大きい体躯を持つスズメバチを、華奢でか弱い印象の蝶々が追っ払う(・・? 嘘でしょ。

「無理でしょ!」と思ったけどおくやま館長の話を聴いて納得。

「オオムラサキは左右の翅を広げた長さが10㎝にもなる大きな蝶ですが、この大きな翅を動かすための胸筋がすごく発達していて、翅を使ってスズメバチを追い立てるんです」

ですって。でも聴いてみれば納得。

人間から見た蝶は軽くてヒラヒラ舞っていて花の蜜を吸って生きるという弱そうなイメージの昆虫ですが、昆虫の身になって考えてみると、あの巨大な左右の翅は脅威ですよね。

空を舞うほどの強力な胸筋を使ってあの巨大な翅で打ちつけられたら深いダメージを受けてしまう。。確かにスズメバチといえども退散やむなしですね。

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スワンホールでの講義を終えた後、探検隊のメンバーはおくやま館長と一緒に昆陽池公園を歩いて伊丹市立昆虫館に向かいます。

昆虫館入口

昆虫館の入口で今、開催している昆虫館のプチ展示企画のポスターをチェック。 「モパニワーム」と呼ばれるアフリカの食用昆虫についての展示です。

食用昆虫・・・。日本でも地域によっては伝統的に昆虫を食べる文化は見られますが、一般的には馴染の薄いの分野だと思います。いや、誤解を恐れずに言うならば、人によってはあまり見たくもないテーマかもしれません。しかし、人間の暮らしの中で昆虫との関わりを描写する点において、食用昆虫は実に生活に密着したリアルなテーマです。

昆虫館はこうした生々しい「昆虫のリアル」に目を逸らすことなく触れてくる姿勢が素晴らしいですね。

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昆虫館に入り、早速モパニワームの展示に直行('ω')
迫力のモパニワームのヌイグルミが出迎えてくれました。モパニワーム・・つまり芋虫なんですね。

mopaniwarm 食べる

モパニワーム、どうやって食べるのかと言うと、ヘラを使って中身(内臓)を押し出して、残った皮というか、芋虫の身の外側を食べるみたいです。「へぇ、そうなんだ」とちょっと意外。説明にもあるように、モパニワームにはほとんど味がなく、食感は干し肉みたいな感じというのも意外。独特の味があるものだと思っていました。

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探検隊のこどもたちも興味津々で展示を見ています。コロナの影響もあって、モパニワームに触ったり、実際に食べたりという体験が出来ないというのは残念でした。

mopani memo

現地に調査に行った昆虫館の職員さんのメモ。このメモの感じだと、最初からモパニワームを求めて取材に行った訳ではなく、現地で偶然売られているのを見つけた?面白そうだからって、それを展示にしてしまったという感じなのかなー。「噛みしめるとダシのような味わいが・・・よいかも」と呟きのようなメモが良いですね。

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別の展示では、「昆虫のうんこ」をテーマに取り上げていました。洋の東西を問わず、「うんこ」というのはこどもたちにとって興味津々な対象であることは間違いない('ω')

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ここでも、ちょっとした雑学を得ることが出来ました。昆虫のフンは、「うんことおしっこ」が一緒になったものですって。そう考えると、人間や哺乳類の多くはおしっことうんこが分かれていて、それぞれ別の場所から出てくる仕組みになっているのも不思議と言えば不思議。

そう思って、インターネットで調べてみると、大便は、生物が生きていくため体内に取り込む必要がないもの。小便は、体に取り込んだ物の中の不要物を廃棄したもの、と分けられるそうです。なるほど。必要な栄養分を得るために二段階に分けて選別作業をしているということですね。

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こんな展示もありました。「もずのはやにえ」です。ここでは「はやにえ」についての詳細な説明はしませんが、これも「動物の生活にとってのリアル」で間違いない。ただ、はやにえについては、なぜモズがこのような行動をするのか、について色々な説があってその理由は明確にはされてきませんでした。

モズははやにえ

「はやにえを作る理由」という説明の中で、「謎がひとつ解明された」とあります。その内容を読むと、モズの繁殖行動と密接した関わりがあるらしいことが研究に明らかになったそうです。はやにえをたくさん作るモズのオスは繁殖の成功率が高いらしい。具体的にどういうことなのかネットで調べてみると、オスの求愛行動は「啼く」ことでメスを曳き付けるのですが、「啼く」ためのエネルギー源として備蓄しておいた食料(はやにえ)を食べるようです。

つまり、「啼き声」の質を高めるためにはやにえを食べる。栄養をたっぷり取り込んでから「歌う」のです。はやにえをたくさん用意できたモズのオスはそれだけ、質の高い啼き声でメスを誘える(強い個体だということをメスにアピールできる)ために繁殖成功率が高いということらしい。なるほど('ω')。これはまた一つ賢くなった。

今回のこども探検隊は、内容が盛りだくさんでレポートもたっぷり時間がかかってしまいました。探検隊のこどもたちも、このようなイベントをきっかけにして、色々なことに疑問を持ち、そこから更なる追求してくれたら嬉しいですね(#^^#)



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